<東洋グリーン 技術ニュース>

ペレニアルライグラスのグレー・リーフ・スポット (いもち病)

その見分け方・対処法

昨年(1998)あたりから日本国内でも報告が増えてきたグレーリーフスポット。数日でライグラスのターフを全滅させるというこの新病害はどのようなものなのでしょうか。

<米国の状況>
古くからセントオーガスチングラスで知られていたが、ペレニアルライグラスでは
1995年に一部地域で発生。1998年に米国北東部から中部の広い地域で大発生、いくつものフェアウエイを壊滅させて一挙に注目を浴びた。今年(1999)の夏の業界誌はトップ記事で取り上げるものも多かった。登録の取れている殺菌剤でも効果の不安定性が指摘されているが、あまりに急激な広がりのために研究が追いついていない。

<症状>
高温多湿時
(好適温度:昼温29℃以上、夜温21℃以上)に発生。(米国での発生ピークは7月中旬から9月中旬) 発生した病害は初霜のころまで持続する。数時間で葉は軟弱黄化し、その後、葉の上に小さな斑点(直径36mm程度、灰褐色でしばしば濃褐色の縁取り)。播種直後の幼植物の発病初期ではこのような病徴は判別しずらいが、葉身は巻いてねじれ、株全体が釣り針状になる。発生初期には35cmの赤褐色の病班を示し、ピシウム赤焼病と混同されることもある(空中菌糸は形成しない)。その後芝が灰褐色に変色した場合には乾燥やドライスポットと混同されやすい。発生後35日でターフが全滅することも。

<病原>
イネいもち病原と近縁の
Pyricularia grisea菌。刈り込みや散水、風、管理機械で伝播。夜間数時間で胞子を形成、早朝には大量の胞子のため葉身が灰色のフェルトをかぶったようになる。

<対処法>
耕種防除:抵抗性の高い草種を用いる。
(耐病性草種:日本芝、ケンタッキーブルーグラス、ベントグラス、バミューダグラス) またペレニアルライグラスの品種間には感受性に大きな差がある(別表)ので、感受性の高い品種は使用しないこと。
化学防除:米国で使用されている殺菌剤
(別表)のうち、国内販売されているもので予防効果が高いのはTPN剤(ダコグリーン、パスポートフロアブル)で残効は510日。発生後にはアゾキシストロビン剤(ヘリテージ)の高薬量散布(0.125g/u)が最も残効が長く1021日。ただし発生後に散布する場合には必ずTPN剤を併用し、散布後57日でTPNを再散布、その後は1021日間隔で散布を行うこと。

播種時には発生の恐れがある場合には、これらにピシウム剤(コンバードなど)を加えたものを散布すること。

米国でグレーリーフスポットに使用されている殺菌剤

TPN(クロロタロニル)剤(予防)、シプロコナゾール剤(予防)、プロピコナゾール剤(予防)、チオファネートメチル・マンゼブ混合剤(予防・治療)、TPN・チオファネートメチル混合剤(予防・治療)、TPN・フェナリモル混合剤(予防・治療)、アゾキシストロビン剤(予防・治療)、プロピコナゾール・トリアジメホン混合剤(予防・治療) 他に新規の殺菌剤が評価中。

<グレーリーフスポットは種子伝播か?>
急激な広がりに芝草の種子による病害の伝播が疑われ米国でも議論されているが、芝草病理学の権威であるメリーランド大学のデルノーデン博士はペレニアルライグラスの主生産地である米国北西部では発生が無いことから種子伝播の証拠はないとコメントしている。博士によれば「ゴルファーの靴やクラブによっても媒介されうる」とのこと。今後の解明が待たれる。

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<引用文献>
Dernoeden,GCM July 1999./ Uddin,GCM April 1999./Vermeulen,USGA G.S.R. Jul.-Aug 1999