<東洋グリーン
技術ニュース>
現在ベントグラスに黄化を引き起こす病害は3種類報告されていますが、病徴がよく似かよっているため混同されがちです。
まだ不明の点が多いこの病害をまとめてみました。
<病徴>
直径1〜5cmの黄色いスポットが発生
。罹病株は叢(そう)生、黄化、萎縮し、根が減退しているため、引っ張ると簡単に抜けます。叢生・萎縮・根の減退が見られずボヤッとした斑を形成する場合もあります。

<対処法>
原因別の特徴と対処法を次表にまとめてみました。
| 病名 | 黄化萎縮病
(イエロータフト) | ピシウム性黄化スポット (仮称) | 黄萎(おうい)病 |
| 病原 | 糸状菌
Sclerophthora macrospora | 糸状菌 Pythium torulosum | ファイトプラズマ (MLO) 注1 |
| 顕微鏡観察 | ピシウムに似た大型の卵胞子(50〜75μm)が観察される | ピシウムの卵胞子
(13〜20μm)が観察される | 病原体は電子顕微鏡でのみ観察できる |
| 発病時期 | 4月中旬〜6月(気温の上昇により消失)
秋期 | 7〜9月の高温期(気温の低下により消失) | 7〜9月の高温期(気温の低下により消失、翌年再発) |
| 効果のある殺菌剤
注2 | メタラキシル剤(コンバード、シバクリン)
ホセチル剤(ゴーレット、グリーンビセット、プルーデンス) ヒドロキシイソキサゾール剤(シバクリン) | なし(テトラサイクリンの連用で効果があるとされるが登録なく高価) | |
| その他 | 窒素肥料で病徴軽減(窒素欠乏状態では殺菌剤と窒素肥料の併用が必要)
排水不良で多発→特にサッチの蓄積の多い場所では改善が必要 | 伝染を媒介するヨコバイ類の駆除 | |
注1:細菌とウイルスの中間とされるマイコプラズマのうち、植物病原性で人工培養の出来ないもの。その特徴から当初は「マイコプラズマ様微生物(MLO)」と呼ばれたが、近年独立したものとして「ファイトプラズマ」と呼ばれるようになった。
注2:表中の殺菌剤は病原菌を抑えて病害の広がりを防ぎ、芝草自体の回復を助けるもので、黄化や叢生の治癒には効果はない。米国では(イエロータフト)ではホセチル(予防)、マンゼブ(予防)、メタラキシル(予防)等が登録されている。
ただし実際には発病時期の重なりも大きく、見分けが難しいので、まず上記の殺菌剤(シバクリンなど)に鉄剤(ユニレイト)を加えたもの(窒素欠乏を起こしているようであればフェロメックやグロースプロダクトなどの液肥も加える)で処理し、様子を見るのがよいでしょう。処理後も発生が広がるようであればファイトプラズマによる黄萎病の可能性が高く、この場合有効な対処法がありません。
またいったん回復したように見えても、一度罹病してしまった株の完全回復は難しく、気温の変動などにより再発することもあるようです。
したがって周囲の健全株によるカバーを促したり、インターシード(追い播き)により健全株を導入するといった改善策の検討も必要と思われます。
(参考文献)
Smilyら1983、 Compendium of Turfgrass Disieses / 谷1996、月刊ゴルフマネジメントNo.134
