今回のニュースレターは、今までにニュースレターで紹介したL-93インターシードの方法についてもう一度最近の情報を整理しながらまとめてみました。
1 今までのインターシード実施コースからの情報
* 播種量
播種量は、春・秋の年2回実施なら1回あたり 5g〜8g/u 程度、秋のみ年1回実施なら 10g/u 程度というところが平均的な播種量です。いずれの場合も継続して実施するのがポイントです。最低3年程度の計画はほしいのですが、使用しているグリーンでは芝の消耗もあるので新しい個体に常に更新する意味合いで定期的に追い播きを継続した方がよいと思います。
* 播種時期
播種時期は春播種よりも秋播種の方が個体の定着が良いようです(千葉県A場・B場、栃木県A場など)。この理由として考えられることは、春播種の場合既存グリーンの品種であるペンクロスの生育が旺盛な時期と重なりL-93の発芽初期生育への影響が大きくが、秋播種の場合L-93よりも夏の落ち込みが大きいペンクロスは回復に時間を要するので、インターシードしたL-93の生育への影響が小さく定着率が高くなるのではないかと考えられます。
* 播種前の作業
播種前の作業はバーチカルよりもコアリングの方が個体の定着が高いということです。
千葉県Bゴルフ場ではさらにインターシード前の穴あけは、ムクバより通常タインを使用した方が種子の発芽が良いということが判ったので通常タインでコアリングを実施しているそうです。キーパーさんの説明によると、通常タインでは穴の途中で種子が止まる確率が高く種子が深いところにまで落ちないので発芽しやすくなるというのが理由です。
これは奥の深い話で作業をよく観察し、検証した結果得られたとても貴重な情報です。
* 施肥管理
施肥管理は年間のN施用量で11-12g/u・年程度でKはやや多めに施用しています。Kの施用量は実績で春・夏・秋ではNの2〜3倍程度になっています。L-93の施肥後の生育反応はペンクロスより緩やかですが過剰に施肥すると芝生がマット化して管理が難しくなります。また1回当りの施肥量は少なめにして回数を多く分けて施用するとターフクオリティーは安定します(千葉県A場)。
* 水管理
ペンクロスとの違いは水管理で、L-93はペンクロスよりも乾燥に強いので散水頻度はやや少なく乾燥する夏でも2-3日に1回程度の散水に抑えています。ペンクロスと同じ散水量では過剰散水になる傾向があり過湿による障害が起こりやすくなります(千葉県A場)。散水間隔をおき乾燥しはじめて葉が萎れる寸前で十分な散水を実施するパターンを繰り返すのがよいようです。
* 夏越しの違い
夏越しに関しては従来使用していたペンクロスより落ち込みが少なく管理がしやすくなったというコメントを多くいただいています。この理由は主にL-93がペンクロスよりも耐暑性と耐乾性に優れるからだと考えられます(静岡県A場・茨城県A場など)。
* 品種変換率とインターシードの効果
正確な品種変換率を知ることは非常に難しいのが現実です。残念ながら遺伝子解析などによる定量方法もまだ確立しておらず、近い将来を考えても安価に手早く変換率を知る方法が確立される見込みはないのが現時点での見方です。L-93のインターシードが比較的うまくいっているゴルフ場で聞かれるコメントは、「とにかくペンクロス単独のグリーンと比較したときにパッティングクオリティーは格段に向上したのがわかる」ということです。具体的には、ペンクロスと同じ管理でも「グリーンスピードが速い」・「アップライトである」・「ボールの転がりがまっすぐで左右の細かいブレが少ない」・「夏越しがしやすく夏の落ち込みが小さい」ということです。
速いグリーンが求められる場合、ペンクロスでは頻繁な目砂・転圧などで仕上げていたがL-93ではペンクロスグリーンほどの転圧がいらなくなり芝へのストレスも少なくなります。L-93は低刈りにも適するのでペンクロスよりパッティングクオリティーを上げやすいようです。
もちろんL-93をインターシードしてからもこまめに更新作業(コアリング・バーチカルカット・グルーミング・目砂など)を実施した方が芝生のマット化を防ぐことができ、グリーンの硬さを維持しやすいでしょう。またサッチの堆積を防ぐためにサッチ分解材(分解くん)を施用するのも良い方法です。
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編集 東洋グリーン(株) ロジスティック本部 松井
技術センター 研究開発部 今田
05/05/06