NEWSLETTER ON TURF SEED No.22

 

継続的なインターシードを施すことによって耐病性や越夏性などに優れた新しい品種の個体を導入する工法は、既存のグリーンのパッティングクオリティーをより高く安定的に維持することができる方法の一つです。

今回のニュースレターでは、L-93でインターシードを実施している千葉県のあるゴルフ場で行なわれている、発芽や発芽初期の生育を向上させる播種方法の工夫について紹介します。

 

L-93のインターシード方法例(千葉県・Aゴルフ場、ベース;ペンクロス、H15年計画も含む)

播種時期

播種前の準備と播種作業

播種量

4月

3月下旬:コアリング(6mm・中空タイン)、スイーパー・目砂散布・擦り込み

4月中旬:コアリングの穴が半分程度塞がった頃合を見計らって、     播種・目砂散布・擦り込み

3 g/u

 

5月上旬:バーチカル・スイーパー・目砂散布・擦り込み。 バーチカルにより横に伸びたペンクロスの芽や葉をかき出して取り除き、ペンクロスの株(芽数)を減らす。

 

6月

6月上旬:コアリング(8mm・中空タイン)

     スイーパー・目砂散布・擦り込み

6月中旬:コアリングの穴が半分程度塞がった頃合を見計らって、

     播種・目砂散布・擦り込み

5 g/u

9月(計画)

コアリング・スイーパー・目砂散布・擦り込み

播種・目砂散布・擦り込み

3 g/u

 

@ 播種時期・播種量などの検討

 一般的にベントグラスの播種適期は春と秋ですが、発芽可能な時期を検討するため、平成14年に試験的にL-93をグリーンにインターシードして発芽状況を調査しました。その結果、7月中旬〜8月頃は種子の発芽がほとんどみられないことがわかりました。7月中旬〜8月頃は、地温が高いため発芽しないと考えられます。この現地での調査で、L-93の播種が可能な時期は、春から秋の間でおおむね4月〜6月と9月〜10月ということが判りました。

そこで、播種方法としては検討結果を考慮し、4月〜6月に2回、9月〜10月に1回の年間3回実施することにしました。そして、1回の播種量は3〜5 g/uに抑えました。この理由は、播種に先立って行なうコアリングで細めのタイン(φ 6〜8mm)を使用し、営業しているゴルフ場でパッティングクオリティーに与える影響を最小限にしたいという配慮からです。

 

A 種子が落ちる深さの調整

ベントグラスの種子は光が全くないと発芽しにくいという特性があります。芝草の中でもベントグラスの発芽時の光要求度合は高いことがわかっています。これまでインターシードを実施しているゴルフ場でも、コアリングによる穴の深い部分からの発芽はほとんどなく、浅い部分に落ちた種子が発芽している事例が多くみられました。

 これらのことから、コアリング作業の後目砂を擦り込み、播種まで1週間前後時間を空けて、コアリングの穴がある程度塞がり、播種した種子が深さ5mm前後の所へ落ちるようになった時に播種を行ないました。

 

B L-93の発芽や発芽初期の生育を向上させるための作業

[コアリング]

 播種前の準備として考慮した点は、既存のペンクロスの株をプレーに影響しない範囲でできる限り減らすことによりインターシードしたL-93の発芽と発芽初期の生育を助けることです。L-93の播種時期とペンクロスの生育適期が一致するため、競合して発芽したL-93の成長が抑えられてしまう可能性があるからです。

インターシードを実施する場合、コアリングは通常のエアレーションとしての効果に加え、ペンクロスの株(芽数)を減らす意味があります。すでにインターシードを行なっているゴルフ場ではコアリングの穴からの種子の発芽が観察されているので、今回このゴルフ場でも播種前に必ずコアリング作業を行なうようにしました。

 

[バーチカルカット]

ペンクロスの場合はほふく力が強く、最盛期には横に伸びた芽や広い葉が目立つことがあります。このような株がL-93の発芽や発芽初期の生育を邪魔することが考えられます。そこで、この対策としては、バーチカルカットを実施して横に伸びたペンクロスの芽や葉をかき出して取り除き、ペンクロスの株(芽数)を減らすようにしました。

 

C 注意点

 注意点としては、生育抑制剤がL-93の発芽を抑えてしまうことがあるので、播種前後の生育抑制剤の散布は避けた方が良いと考えられます。このことは、現地で実施した発芽試験でも確認されました。

 

また今回紹介した事例は、このゴルフ場の条件に合わせ、最良の効果を上げるための工夫を行なったものです。

インターシードにおける手法は、それぞれのゴルフ場の条件に合わせた調整を必要とします。東洋グリーンでは、豊富な経験を元に、最適の方法を提案させていただきます。

編集 東洋グリーン(株)松井 、 研究開発部 今田
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05/05/06