イエロースポット(仮称)あれこれ

イエロースポットの芝生

この夏を振り返って

今夏の天気

 今年も暑い夏が終わり、秋の気配が漂い始めました。ベントグラスグリーン管理者の皆様も一息ついたところでしょう。
 関東甲信地方では平年より3日早い6月5日に梅雨入りし、平年より遅い7月28日に梅雨が明けました。梅雨時期の降水量は平年より少なく、7月初旬や梅雨明け後には散水に追われたコースが多かったようです。
 梅雨明け後は35℃越えの猛暑が続きベントグラスにとって厳しい日々となりましたが、台風9号の上陸以降降水量が増え気温も平年を下回りました。

気象データ

イエロースポット

 近年、梅雨明け前後よりグリーンに発生する黄色い斑点模様(黄化斑)の発生報告が増えていますが、今夏の関東地方では例年以上に発生しているコースが多いようです。降水量の少ない長梅雨と7月下旬の気温が平年よりも低かったことが関係してるのかもしれません。本病の原因菌として、ピシウム、担子菌、藻類が指摘されていますが現状は不明です(以降「イエロースポット」と仮称)。

イエロースポットの防除(治療)

 イエロースポットの早期回復・治癒を目的に、ピシウムや担子菌、藻類の防除に有効な種々の殺菌剤を試していますが、いずれの剤も無処理よりも早い回復が見られたものの早期の治癒効果を示すものではありませんでした。ターフシャワー+ボンジョルノやデディケート+ランマンに比較的早い回復効果が見られましたので、ピシウム菌と担子菌の混合感染が本病に関わっている可能性が考えられます。

イエロースポットの防除(予防)

 本病に対する治療剤が見当たらない現状では、本病を発生させない予防的な対応が一番となります。弊社では2008年から、日本の気象・病害発生実態に合わせた独自の殺菌剤プログラムの開発に取り組み、「東洋グリーン殺菌剤プログラム」として毎年新たなプログラムの評価試験を実施しています。今年も新旧プログラムの評価を行っていますが、イエロースポットの発生は対照区や無処理区で激発したのに対し新・旧プログラム(東洋グリーン殺菌剤プログラム2016)ともに極軽微でした。ピシウムや担子菌、藻類の発生を総合的に防除することでイエロースポットの発生を抑えていると推察されます。

  • 殺菌剤プログラム実施箇所の様子

  • 昨夏の肥料試験の実施箇所の様子

イエロースポットの防除(その他)

 昨夏に実施したベントグラスの夏越しを目的とした肥料試験では、梅雨明け前の緩効性粒状肥料ニュートリDGの施用によりイェロースポットの発生が抑えられるという結果が得られています。葉身分析の結果でも窒素含有量の高いベントグラスでは本病の発生が少ない傾向が見られています。本病の発生には、病原糸状菌や藻類とともに、窒素施肥量や、葉身中の窒素含量も関係していると考えられます。
 今夏の関東地方は9月に入っても雨の日が多く、例年なら自然治癒するイェロースポットも回復が遅れているようです。「ほっといても自然に治る」と特に心配していないコースが多い本病ですが、見た目の悪さは明らかです。弊社殺菌剤プログラムを検討頂き、発生させない管理で対応してみてはいかがでしょうか。