病害診断から見る病害発生傾向

いもち病(分生)胞子の拡大

ゴルフ場ベントグリーン&グラウンドの発生病害を解説(2017年)

ゴルフ場ベントグリーン(冬~春)

ベントグリーンに発生したかさ枯病(2月)

2月から3月にかけて、細菌病(かさ枯病)のサンプルが多く見られました。かさ枯病は赤褐色の不定形パッチとなり、病斑部にかさ(ハロー)を形成することが特徴です。グリーンの低い刈高ではかさ(ハロー)は不明瞭であるため、診断には専門的な分析を行う必要があります。季節の変わり目は人間も植物もストレスを感じやすくなります。治療法の1つに抗生物質が挙げられますが、多用は耐性菌を出現させる危険性があるので要注意です。

ゴルフ場ベントグリーン(夏)

ベントグリーンに発生した炭疽病(8月)

2017年は東西で梅雨の降水量が平年を大きく下回りました。乾燥害で散水対応に追われるコースは多かったと思いますが、病害の発生は比較的落ち着いていました。8月に入ると特に東日本では雨の日が多く、ピシウム病や炭疽病の発生が増加したようです。梅雨時期に目立たなかった藻類もこのタイミングで発生が目立ちました。夏期の多種多様な病害防除には、弊社の殺菌剤プログラムを是非ご活用ください。

グラウンド(夏)

ティフトンに発生したカーブラリア葉枯病(8月)

トランジション後のティフトンには、カーブラリア葉枯病の発生が多く見られました。一部サンプルではバイポラリス葉枯病も確認しています。ティフトンは病害に強いイメージを持つ人もいるかと思いますが、葉枯病、ダラースポット病、フェアリーリング病などが例年発生します。オーバーシードを行うグラウンドでは暖地型芝草と寒地型芝草で発生病害が変わってくるため、季節と草種に合わせた防除対応を心掛けましょう。

グラウンド(夏~秋)

ライグラスに発生したいもち病(8月)

気温が下がる前にオーバーシードを行ったグラウンドでは、いもち病の発生が見られました。いもち病の発生には降雨や日照も大きく影響します。まとまった雨が続いた後は特に注意が必要です。ウィンターオーバーシードにおけるライグラスの初期生育では、ピシウム病+いもち病のダブル防除が効果的です。芝草に既登録のいもち病用殺菌剤は少ないのが現状ですが、同じイネ科の水稲では最重要病害に当たります。

病気かな?と思ったら病害診断依頼を

芝草の生育不良には病気に起因するもの、虫に起因するもの、土壌に起因するものなど様々な要因が考えられます。見た目である程度判断できるものもあればそうでないものもあります。弊社は芝地の調査分析から改善提案まで幅広く行っております。現場でお困りの際はお気軽にお問い合わせください。