ベントグリーンを夏越しさせる9つのSTEP ~ 『STEP 6』

STEP 6 【初秋】

「すばやい回復を促す」:現状の見極めと対処

● 夏の終わりから本格的な秋の始まりまでの、地上部は回復開始したが、
   根はまだ活性が低いという、過渡期の対応です。

気象・芝・土壌の状態

・ 温度が下がりはじめ、光合成と葉の伸びは次第に回復
・ しかしまだ根の適温より高く、根の活性は低い
・ 貯蔵養分は少しづつ回復し始めたが、まだ低い
・ 夏の間に土壌表層の透水性・通気性が下がっている
・ まだ高温多湿で病害・害虫・藻などが発生しやすい

管理目標=底を打ったベントを、速やかに本格回復期へ移行させる

気温が下がりはじめると刈草も増え、夏越しも峠を越したように思え、秋に向け更新作業等を始めたい時期ですが、
まだ無理は大敵! 次のような課題があります。
・根の活性がまだ低く、水や養分(特にリン・カリウム)の吸収が不足、光合成も低い。
・光合成が本調子でなく、呼吸量もまだ多いので、余剰炭水化物は少ない。
・余剰炭水化物の大半を葉と根の回復に費やすので、貯蔵養分はまだ少ない。
 (回復初期には貯蔵養分全部をつぎ込んで、一時的にフルクタンがゼロも)
・炭水化物が低いので、新たな酵素・葉緑素・新根・分げつの形成は低調。
 (そのため窒素施肥をしても反応は鈍く、窒素過剰にしてしまいがち)
・夏の下葉・根の枯死や藻で、土壌表層の透水性・通気性が下がっている。
 更新作業をしたくても、根が弱く、早すぎる作業は芝を傷める危険が大。
 (根を傷めてしまうと、なかなか回復できない)

管理作業のポイント

本格的な秋の生長(Step 7)が始まるまでは、フルクタンで光合成と炭水化物収支を確認し、葉身中のカリウムで根の状態を確認しながら、根に負担をかけずに光合成を回復させることが重要になります。

【ポイント1】 根の活性に合わせた、液肥によるスプーンフィーディング
・吸収の良い尿素や亜リン酸、光合成に必要なマグネシウム、夏に下がったカリウムを液肥で補給、光合成を確保
(炭水化物に余裕が無い間は窒素反応が鈍いので、うっかり窒素をやり過ぎないように、葉身の窒素も確認)

【ポイント2】 サプリメントで、根と葉の活性を高める
・サイトカイニン、微量要素、抗酸化物質などで光合成活性を上げる
・フルクタンが低い場合には、アミノ酸・糖・有機酸の点滴補給で、回復を早める

【ポイント3】 根と貯蔵養分の状態に合わせた更新作業で、根へ酸素供給
・フルクタンが低く根が弱いうちは、根に負担の低いベンティング・スパイキング
・薄めの浸透剤の定期使用で、更新作業の不足をカバー
・根の張りと貯蔵養分の増大を確認したら、次第に強い作業へ

【ポイント4】 耐暑性品種の追い播きで、特に落ち込んだ部分の回復促進・カタビラ侵入抑制
・夏に特に密度が下がった場合には、スパイキングと同時に耐暑性新品種をインターシードし、その秋の被覆を促進し、翌年以降の夏越しを改善させる

【葉身分析目標値】
・Pはアップ(0.6%以上)、他は夏と同レベル(N:4.0~5.0%・K=2.0%以上・Mg=0.2%以上)を確保して、光合成の促進を図り、できるだけ早いフルクタンの回復(10mg以上)を目指す。

この時期のおすすめ資材・機材

【K-ビルダー、フェロメック】
 吸収の良い尿素を含む液肥で、窒素をスプーンフィーディングしながら葉身窒素を適正に確保

【シェイプアップ】
 重炭酸カリウムとマグネシウムが光合成と炭水化物代謝をアップ、貯蔵養分の回復を促進

【TKOフォスファイト】
 吸収の良い亜リン酸で、光合成と細胞分裂を促進

【Foltec The ZEN】
 サイトカイニン・微量要素などのサプリメント類の施用で、光合成の回復を促進

【スパイカー/シーダー、マレード V-スパイカー、コアマスター+スパイクタイン】
 弱った根に合わせたスパイキング・ベンティングで、土壌表層への酸素供給

【962・L-93】
 ベンティングと同時に耐暑性新品種のインターシードで、落ち込んだ部分の被覆を促し、翌年の夏越しを改善

K-ビルダーとTKOフォスファイトで、NとPをコントロール

K-ビルダーは吸収の良い尿素、緩効性窒素、カリウムをバランス良く配合しています

吸収の良い尿素を中心に各成分をバランスよく含んだK-ビルダーを、薄くスプーンフィーディングして、葉身の窒素を過不足なく維持。
同じく吸収の良い亜リン酸を含むTKOフォスファイトも併用すれば、夏に下がった葉身のリンを回復させ、光合成を確保できます。

シェイプアップで、光合成と炭水化物代謝のアップ

クロロフィルの中心元素マグネシウムと、炭水化物代謝に欠かせないカリウム、光合成を促進する重炭酸塩のコンビネーションが、弱ったベントグラスの活力をアップ。<br /> 秋口の回復を加速し、耐暑性、耐寒性、耐病性を高めます。

重炭酸カリウム・マグネシウムが、
光合成をアップ、
炭水化物代謝もアップ

高速で仕上がりの美しい、TIPスパイカー/シーダー

無数のスパイクによるごく浅いスパイキングで、根にやさしく酸素を供給します。
L-93や962などの耐暑性品種を同時にインターシードできます。

962。 最強の耐暑性品種

昼35℃/夜30℃の高温でも、「962」(左)は濃い緑の芽が伸び続けるのに対し、ペンクロス(右)は葉が退色、生長が止まっています。(播種後3週間)