ベントグリーンを夏越しさせる9つのSTEP ~ 『STEP 8』

STEP 8 【晩秋】

「晩秋期施肥」:来年へ向けた養分貯蔵の促進

●気温は葉の生育適温より低くまで下がってきたが、
 地温はまだ根の生育適温範囲、という時期の対応です

気象・芝・土壌の状態

・気温の低下と共に葉の伸びは鈍化
・温度低下と共に呼吸も低下
・まだ根の活動や光合成は続いている
・葉の伸びと呼吸という炭水化物消費が減るので
・ 貯蔵養分は最後の伸びを見せる

管理目標= 貯蔵養分の今年最後の蓄積を、晩秋期施肥で最大化する

翌春の動き出しの原動力となる貯蔵養分を貯めこむ「晩秋期施肥」の季節ですが、次のような注意点があります

・葉が伸びないからと施肥を控えて、窒素・マグネシウムなどが不足し、光合成が低下していることがある。
 その解決には晩秋期施肥が有効だが、タイミングが早すぎると葉の生長が過剰になって、炭水化物の消費が
 増え、貯蔵養分の蓄積ができない。

・温度は刻々と下がり、光合成や根の活性も次第に下がっていく

・晩秋期施肥のタイミングが遅すぎると、光合成が落ちてしまい、炭水化物の蓄積ができない

・温度低下で根でのカリウム吸収が下がり葉身中のカリウムが不足すると、気孔の開閉が鈍り光合成が低下する

・晩秋期施肥のN・P・Kの量やバランスを誤ると、耐寒性が下がることがある

管理作業のポイント

晩秋期施肥のタイミングを見極め、窒素・マグネシウム・カリウム・鉄などのバランスを取って貯蔵養分の蓄積を
促し、冬のストレスに備えることが、この時期のポイントになります。

【ポイント1】
 晩秋期施肥のタイミングを見極める
・葉の伸びの落ち始め(日平均気温が10℃以下になってから3~5日)がベスト

【ポイント2】
 光合成を高める
・酵素や葉緑素に必須な窒素・マグネシウム・微量要素を充分に与える

【ポイント3】
 炭水化物代謝を高め、貯蔵養分蓄積を促す
・糖からフルクタンへの合成にはカリウムが必要

【ポイント4】
 低温・乾燥・凍結などの、冬のストレスに備える
・浸透圧調節や気孔開閉には、カリウムが必要
・冬季の耐寒性アップと強光障害の防止には、鉄が必要
・フルクタンの蓄積は、耐寒性・耐凍性のアップにもつながる

【ポイント5】
 晩秋期施肥の量・バランス・養分形態を見極める
・窒素・マグネシウムを充分に、カリウムも多めに
・根の活性が落ち始めているので、吸収しやすい形態で与える
・窒素・カリウムに対してリンが過剰になると耐寒性が落ちる
・適切な晩秋期施肥が実施できたかどうか、実施後のフルクタン値や刈草の量で確かめる
 (刈草量が増えずに、フルクタンが増加していれば成功)

【葉身分析目標値】
・無機養分は「秋」と同レベルを維持。
・フルクタンは20mg以上、最後の伸びを促す。

この時期のおすすめ資材・機材

晩秋期施肥の例:
 現在の葉身中の無機養分含量と、温度・地域・ベントグラスの状態に合わせて、資材を選択します。

 【粒状肥料で行う場合】
   ・ニュートリDG (DGオータム または DGベース)
 【液肥で行う場合】
   ・The クラシック (3~5週間ごとに反復)
 【特に寒さの厳しい地域】
  ・ニュートリDG DGベース + フェロメック
 【カリウムの補給】
  ・シェイプアップ、ウージK
 【マグネシウム・微量要素・アミノ酸類の補給】
  ・シェイプアップ、Foltec The ZEN
 【鉄剤で耐寒性アップ・強光障害回避・迅速な色出し】
  ・ユニレイト、フェロメック

晩秋期施肥にも最適 分散性粒状肥料 ニュートリDG

DGオータム
成分:10-5-25 +Mn:0.50% +Mg:0.50%
窒素成分の配合比率は 50%が緩効性のミューテックで、残り50%は即効性。
特にカリウムの比率を上げたV字型で、晩秋施肥に利用可能です。  

DGベース
成分:18-9-18 +Mn:0.14%
窒素成分は 60%がミューテックで、緩効性と即効性とのバランスに優れ、多くの場面で効果的に使用できます。
窒素、カリの高いV字型で全シーズンに利用可能です。

液肥での晩秋期施肥に The クラシック

成分:18-3-6 +微量要素
芝の成長バランスを考えた肥料です。
環境変化への抵抗力を高めるカリウムを多く配合し、グリーンアップを促す鉄を含んでいます。 他の液肥に比べてグリーンアップ効果が高く、窒素成分の40%がメチレン尿素なので効果が長続きします。

晩秋期施肥の時期であれば、葉色のピークは施肥10日後程度で、20日を過ぎた頃から徐々に色あせていきます。 肥効は約30日持続します。

寒冷地でも素早い効果、即効性液肥 フェロメック

成分:15-0-0 +イオウ:4% +鉄:6%
ベントグラスの素早いグリーンアップに最適です。短期間で芝の生長量の急激な増加をさせないで、緑色を出すことが出来ます。

低温条件でも効果の発現が早く、また耐寒性のアップに寄与する鉄も含有しています。 
晩秋期施肥の補助に最適です。

晩秋期施肥に重要なKとMgをしっかり補給 シェイプアップ

成分:0-0-26 +Mg:10% 
水に溶けやすく速効性の弱アルカリ苦土入りカリ肥料です。炭酸ガスを含み、炭酸同化作用を促進し、また、重炭酸イオンが難溶化した肥料養分を有効化します。

晩秋期施肥の命となる光合成を促進し、炭水化物の代謝を維持。 
養分貯蔵の最後の一押しに。

各種パンフレットはコチラ

ニュートリ総合パンフ210401
Theクラシックパンフ210601
フェロメックパンフ210601
シェイプアップパンフ210601
ウージKパンフ220519
TheZENパンフ210421
ユニレイトパンフ210601