ベントグリーンを守る「殺菌剤プログラム」のご紹介(2)

2019年試験

東洋グリーンでは2008年から、日本の気象・病害発生実態に合わせた独自の殺菌剤プログラムの開発に取り組み、2011年に「東洋グリーン殺菌剤プログラム2011」を発表しました。その後も毎年新たな評価試験を実施して「プログラム」を進化させています。

茨城県内ゴルフ場のパッティング練習グリーンを使用して「東洋グリーン殺菌剤プログラム2019」をベースに3つの新規プログラムを加えた、計4つのプログラムの評価試験を行いました。

試験地の気象

日本気象協会HPデータより

2019年は平年とほぼ同時期の6月7日に梅雨入りし、平年並みの梅雨期間を経て7月24日に梅雨明けしました。2018年と比べて梅雨が約1ヶ月間長く、気温の低い日が続いた影響で夏期病害の発生は落ち着いていたようです。

梅雨明け後は最高気温30℃を越える真夏日が続き、高温・乾燥ストレスと病害による被害が目立ちました。10月に入っても気温が下がらず、秋の気配を感じる日が少ない年でした。

9~10月は大型の台風によって記録的な暴風雨となり、病害予防とともに片付け作業に追われるコースが多かったと思います。

試験の結果

予防散布を控えた試験区では梅雨入り前後と秋のダラースポット病が目立ち、盛夏には炭疽病の発生も見られました。10月以降もまとまった雨や気温の高い日が続いたため、病害の勢いが収まりませんでした。

しかしながら、「東洋グリーン殺菌剤プログラム」を適用した試験区では病害の発生が少なく、高いクオリティを維持していました。ピラクロストロビン含有剤(オナー)やストレスガード製剤(インターフェース、シグネチャー)を組み込んだプログラムは、夏場の乾燥・焼け軽減や夏から秋にかけての病害予防に対して非常に優れています。

近年、EBI剤が効き難い、さらには10月以降も長引くダラースポット病が問題となっています。今年の試験地では11月に入っても発生が見られましたが、ピラジフルミド含有剤(ディサイド)を処理した区では高い防除効果が認められました。

進化を続ける「東洋グリーン殺菌剤プログラム」。2019年試験の結果を踏まえて病害・藻類の防除効果を高めた「東洋グリーン殺菌剤プログラム」を皆様にご提案いたします。

東洋グリーン 殺菌剤プログラム

病害の発生が予想されるグリーンに対応した、殺菌剤散布計画を作成しています。

病害発生の多いグリーンや、透水不良やサッチ蓄積などの問題が起こりやすいグリーン、環境条件の悪いグリーン、重要なイベントを控えている場合にとくに向いています。

【プログラムの設計】

弊社プログラムは広い地域で適用可能なプログラムとして設計されていますが、管理目標や予算、地域によってはプログラムの一部修正が必要な場合があります。

その際には、それぞれの地域での重要な病害を考慮して、どの殺菌剤がベストなのか、自身の経験や知識・情報を参考に管理するコースに合ったプログラムを考案してください。

殺菌剤プログラムは指針であり、固定された処方箋ではありません。必要に応じプログラムを変更するための準備をしておくことも必要です。

【プログラム実施時の注意】

殺菌剤プログラムは予防戦略であり、治療を目的とするものではありません。プログラムを効果的に運用・実施するためには「予防になっていない」ことのないように注意が必要です。

薬量が低すぎる・散布間隔が空きすぎることのないように、また、散布時のキャリブレーションやノズル選択、水量に誤りがないように心掛けてください。

殺菌剤プログラムは、病害防除の一つの手段です。適切な肥培管理・エアレーション作業は、予防プログラムの効果を高めます。病気にかかりにくい回復の早い健康な芝作り、病気が発生し難い環境作りが大切になります。

管理の都合上、やむを得ず、液肥・殺虫剤・その他資材との混合撒布を実施する場合には、高濃度による薬害発生や薬剤の効果低下のないよう混合適否を十分考慮するとともに、可能な限り混合する資材の数を減らすよう努めてください。