ベントグリーンを夏越しさせる9つのSTEP ~ 『STEP 4』

STEP 4 【夏・シナリオA】

「夏と闘う」:光合成と根活性の維持

● 貯蔵養分が比較的高い状態で夏を迎えた場合の対応です。 
  (葉身中のフルクタンが10 mg/gDW程度)

気象・芝・土壌の状態

・ 梅雨明け以降の、いちばん暑い時期
・ 生育はほぼ止まり、刈カスも少なく、根も短い
・ 光合成<呼吸で、炭水化物収支は赤字
・ 貯蔵養分は少ないが、枯渇はしていない
・ 高温多湿で病害・害虫・藻などが発生しやすい

管理目標=光合成と根の活性を維持し、夏と闘う

この時の管理目標は、光合成を可能な限り高めてエネルギー源である炭水化物を確保すると同時に、衰えがちな根の活性を保ち、高温や病害などのストレスに負けずに夏を闘いぬくことになりますが、次のような課題(ハードル)があります。
・高温のため、葉の光合成が低く、根の活性も低い
・根への炭水化物分配が不足して根の活性が下がり、養分吸収やサイトカイニン生産が減り、光合成が下がる
・根の活性不足で葉のカリウムが不足すると、気孔開閉などのストレス調節機能や、炭水化物代謝に悪影響が出る
・下葉や根が枯れ上がったり、地表に藻が出たりして、グリーン表層の土壌通気性・透水性が低下しやすい
・高温多湿と芝の活性低下で、軟弱化による軸刈りや、病害が起こりやすい
・病害や機械的障害からの回復力が低い

管理作業のポイント

【ポイント1】 光合成の維持
・窒素のスプーンフィーディングによる、葉の窒素レベルの最適化: 
 この時期の窒素は過剰に与えてしまうと、貯蔵炭水化物を消耗し、ターフを軟弱化させ、命取りになる。 しかし、光合成を保つためには、葉緑素や酵素活性維持のため、窒素は決して切らしてはならない。 
緩効性窒素の使用やスプーンフィーディングで、窒素を継続的に与え、葉身中の窒素を適正レベルに保つ。 
根の吸収能力が落ちるこの時期には、葉面吸収性の尿素が有効。

・葉身中のリンとカリウムの確保:
 夏に葉身中のリンやカリウムが高いと、フルクタンが高いことが観察されている。 これは、光合成活性や炭水化物代謝が保たれるためと考えられる。

・この他に、マグネシウム・鉄・微量要素など光合成関連要素の補給、サイトカイニン剤による葉の活性維持、風通し・日当たりの悪いグリーンは環境を改善する、といったあらゆる手段で、光合成の維持を図る。

【ポイント2】 根活性と葉のカリウムの維持
・様々なストレスへの抵抗性を高めるためにもカリウムは非常に重要、積極的に補給して葉身中のカリウムを保つ。
・カリウムは根からの吸収がほとんど。 根の活性が落ちるこの時期は多めに与えると同時に、芝に負担をかけない浅いベンティングや藻の発生防止で、土壌表層の通気性・透水性を確保し、根の酸欠を防止、活性を維持。

【ポイント3】 カルシウム+キトサンで、芝の健康度のアップ
・カルシウムは、節間が短く葉が硬い丈夫な茎葉を作り、発根作用・耐乾性の向上の効能もある。
・キチン・キトサンは病害に対する全身抵抗性を誘導する。有機酸カルシウムとの同時施用でさらに効果アップ。

【ポイント4】 予防的殺菌剤散布
・定期的な殺菌剤のプログラム散布で、藻・ピシウム・炭疽病などによるダメージを防ぐ。


【葉身分析のポイント】
・Nは4.0~5.0%に。 
・P=0.5%以上・K=2.0%以上・Ca=0.3%以上・Mg=0.2%以上。 
・フルクタンは10以上を維持する。

この時期のおすすめ資材・機材

【K-ビルダー】
 尿素とメチレン尿素による安定した窒素肥効と、ストレス耐性を高め高温・乾燥と戦うカリウムを補給

【TKOフォスファイト】
 吸収の良いリンとカリウムで、葉の光合成や炭水化物代謝を保つ

【Foltec The ZEN】
 サイトカイニン含有の海草抽出物や微量要素、抗ストレス物質で、活性アップ

【コアマスター+スパイクタイン,スパイカーシーダー,マレード V-スパイカー/コアラ―】
 ターフを傷めない優しいベンティングで、土壌表層へ酸素供給

【サントーク リキッドカルシウム】
 吸収の良い有機酸カルシウムとキトサンで、芝の軟弱化を抑え、全身抵抗性をアップ

【殺菌剤プログラム】
 オーソサイド・ターフシャワー・ボンジョルノなどの定期散布で、藻・ピシウム・炭疽病などのダメージを防ぐ

K-ビルダーで、夏の窒素とカリウムを補給

K-ビルダーと海草抽出物資材との同時施用(2週間隔)で、根も充実。適正レベルの窒素と、サイトカイニンなどのサプリメントで光合成が維持され、同時にカリウムによって炭水化物代謝や水分調節能力が高まったためと考えられます。

高配合のカリウムがストレス耐性を高め、炭水化物代謝を改善。
尿素と緩効性のメチレン尿素が、安定した葉身窒素を実現。 

葉身中のリンの維持で、炭水化物収支を改善

夏には、葉身中のリン(横軸)とフルクタン(縦軸)に、正の相関がみられます。(日本芝草学会2010年研究発表) 
これはリンによって光合成能力が維持されているためと考えられます。
TKO-フォスファイトなど吸収の良い液肥でリン補給を。

リキッドカルシウムの定期散布で、夏の根の状態が改善

4月から2週ごとの散布(2cc/㎡)で、根の状態が大きく改善されました。

吸収の良い有機酸カルシウムとキトサンで、ベントグラスの生育が改善されたためと考えられます。

芝を傷めないベンティングで、土壌酸素を確保

スパイカー/シーダー、スパイクタイン、スタータイン、マレードVコアラ―・スパイカーなどで、芝の状態に合わせた優しいベンティングを、能率よく実施。