ベントグリーンを夏越しさせる9つのSTEP ~ 『STEP 5』

STEP 5 【夏・シナリオB】

「弱りきったベントを守る」:ストレス軽減とサプリメント

● 夏に貯蔵養分が底をついてしまった場合の対応です。 
  (葉身中のフルクタンが5mg/gDW未満)

気象・芝・土壌の状態

・ 梅雨明け以降の、いちばん暑い時期
・ 生育はほぼ止まり、刈カスも少なく、根も短い
・ 光合成<呼吸で、炭水化物収支は赤字
・ 貯蔵養分はほぼゼロ
・ 高温多湿で病害・害虫・藻などが発生しやすい

管理目標=温度が下がるまで、ベントを守り、生き抜かせる

この場合の管理目標は、ともかく秋が近づいて温度が下がるまで、ベントを守り、生き抜かせること。
しかし、すでに弱り切っているベントには、次のように数多くの危険があります。
・余剰炭水化物がほとんど無いため、光合成に必要な酵素や葉緑素が作れず、光合成がさらに下がる。
・高温と炭水化物不足で根の活性が下がり、水や養分の吸収・サイトカイニン生産が落ち、光合成がさらに下がる。
・下葉や根が枯れ上がったり、地表に藻が出たりして、土壌表層が過湿で酸欠になり、根の活性がさらに下がる。
・根が弱り切って水すら吸えなくなると、体内の水分が不足して枯れる「ウェットウィルト」が起こる。
・根の活性低下に伴うカリウム不足により、気孔開閉などのストレス調節機能や、炭水化物代謝にも悪影響が出る。
・高温多湿と芝の活性低下で、軟弱化による軸刈りや、病害が起こりやすい。
・貯蔵養分が無いため、病害や障害から回復できず、芝が完全に枯死する危険が高い。

管理作業のポイント

【ポイント1】 過湿も乾燥も防ぐ、細心の水管理
・弱りきった根に合わせた灌水で、乾燥ストレスと過湿の両方を防ぐ。 とくに、ウェットウィルト発生の場合は、シリンジングで芝草だけに水を与える。 また、安全性の高い浸透剤の定期使用で、ドライスポットを予防する。

【ポイント2】 糖・有機酸・アミノ酸の「点滴」で炭水化物を補給
・とくに炭水化物が枯渇している状態では、酵素タンパクや葉緑素などが作れなくなり、さらなる衰弱を招く。 糖・有機酸・アミノ酸を葉面散布で補給すると、この危機的状況を緩和し、一息つかせることができる。

【ポイント3】 サプリメント類の施用
サイトカイニン、微量要素、抗酸化物質などで光合成低下を防ぐ。 特に、通常は根で作られて葉の活性を上げるサイトカイニンは、根が弱ると生産が落ち、葉の老化と光合成の低下を起こすので、重要である。

【ポイント4】 ストレスや機械的傷害を防ぎ、環境を改善する
・モアのセッティングや刈高を変え、軸刈りやストレスを防ぐ。 また、風通しや日当たりが悪い場合は、樹木の剪定・伐採、送風機(ファン)の設置で、葉面境界層を打破して光合成を上げ、高温多湿を軽減する。

【ポイント5】 徹底した予防施薬で、病害虫や藻によるダメージを防ぐ
・病害は弱った植物では被害が大きくなる(ストレス病・日和見感染)ので、殺菌剤のプログラム散布で守る。
また、藻は土壌表層の通気性を妨げて根の酸欠の原因となるので、徹底して予防する。

【葉身分析のポイント】
・Nは4.0~5.0%に。P=0.5%以上・K=2.0%以上
・Ca=0.3%以上・Mg=0.2%以上を目指す。 
・フルクタンは現状維持を目指す。

この時期のおすすめ資材・機材

【アミノレスキュー】
 糖・有機酸・アミノ酸を葉面散布で点滴補給、炭水化物枯渇の危機からベントを救う

【Foltec The ZEN】
 サイトカイニン含有の海草抽出物や微量要素、抗ストレス物質で、活性アップ

【グリンキープファン】
 芝表面の温度と湿度を下げ、葉面境界層を打破して、光合成をアップ

【殺菌剤プログラム】
 オーソサイド・ターフシャワー・ボンジョルノなどの定期散布で、藻・ピシウム・炭疽病などのダメージを防ぐ

【コアマスター+スパイクタイン,スパイカー/シーダー,マレード V-スパイカー】
 ターフを傷めないベンティングで、土壌表層へ酸素供給

【サントーク リキッドカルシウム】
 吸収の良い有機酸カルシウムとキトサンで、芝の軟弱化を抑え、全身抵抗性をアップ

アミノレスキューで、点滴補給

炭水化物が欠乏すると、アミノ酸の合成ができなくなり、葉緑素や酵素タンパク質が不足、光合成がさらに下がる悪循環に。
糖・有機酸・アミノ酸を高濃度で含有するアミノレスキューの葉面散布は、この危機的状況を緩和し、回復の糸口を作ります。

海草抽出物・微量要素・ビタミンなどを総合補給

Foltec The ZENは、天然サイトカイニン含有の海草抽出物や、抗酸化物質(ビタミン類)、微量要素、アミノ酸など、日本の夏のベントグラス管理をターゲットに開発された、総合補給剤です。

夏の高温・ムレ対策に、グリーンキープファン。

風通しが悪いと、葉の表面に湿った空気の層(葉面境界層)が生じ、病害が出やすくなるだけでなく、光合成能力も落ちてしまいます。 静かで大風量、固定式と移動式があります。

確実に、守る。 殺菌剤プログラム

米国での研究に触発され、2008年から日本に合わせたプログラムの開発を開始した「東洋グリーン殺菌剤プログラム」。 
各種の殺菌剤を組み合わせた予防プログラム散布で、ベントグリーンを年間を通じて守ります。
理論だけではなく、わが国の現場試験を踏まえた確かな技術です。 2011年の発表以来、進化を続けています。